◆◆◆◆◆◆◆令和6年度野外研定期総会・記念講演会「埼玉妖怪談義」が開かれました!◆◆◆◆◆◆◆
令和6年7月14日(日)13:30~14:30、令和6年度野外研定期総会が浦和パルコ10階のコミュニティーセンタ―(第13集会室)で開かれ、令和5年度事業報告・同決算報告・同会計監査報告、令和6年度事業計画・同予算が、それぞれ議案書どおり承認されました。令和6年度事業は、講座として「埼玉の埴輪」、「見沼とその周辺の鳥」、「トトロの森」、見学会として、「嵐山渓谷と小倉城跡」、「狭山丘陵」、「筑波山」を実施することとなりました。
定期総会後の15:00~16:30、さいたま文学館の大明敦主任専門員による記念講演「埼玉妖怪談義」が行われました。はじめから終わりまでよどみない話しぶりで、楽しそうに妖怪のことを語る講師の姿が印象的でした。
前半の第Ⅰ部は「埼玉の妖怪をめぐって」と題して、まずは「妖怪の定義」。妖怪は信仰が失われて零落した神のすがたで一般には「バケモノ」と呼ばれていること、出来事・現象としての妖怪(姿や音)、存在としての妖怪(貧乏神やキツネつき)、造形化された妖怪などに分類できること、次に「埼玉の妖怪の諸相」として、水辺・水中、山や森、路傍・路上、人里などにあらわれる妖怪や、生物・器物の怪異としての妖怪がいることが紹介されました。埼玉県内の地名を冠した妖怪もいて、山に棲む天狗は厳格で荒っぽいが、里の天狗はおおらかでお人よしであるというのは面白かったです。
後半の第Ⅱ部は「妖怪伝承の地を探訪する」と題して、県内各地8か所の寺・神社・川などの地図と妖怪伝説が紹介されました。「むすび」では、妖怪は日本文化の一つであり、日本人は妖怪とともに生きてきたこと、妖怪は安心・抑止力・拠り所としての存在にもなり、想像力をかきたててくれる存在でもあるので、大人も子供も楽しめる対象とのことで、「埼玉県には128体のゆるキャラがいるが、ほぼ妖怪と言ってよい」という講師の言葉が最後に印象に残りました。
定期総会参加者20名、記念講演会参加者は会員20名+非会員12名+講師=33名でした。また、機関誌『野外調査研究』第8号が刊行され、定期総会出席者には会場で配布されました。
❤❤❤令和5年度 野外研講座-3「画家・福沢一郎と『秩父山塊』」が開かれました!❤❤❤
令和6年4月14日(日)13:30~15:30、さいたま市立岸町公民館で野外研講座-3「画家・福沢一郎と『秩父山塊』」が開かれました。講師の本間岳史さん(本会会長)は、埼玉県立自然の博物館(長瀞町)と埼玉県立川の博物館(寄居町)の開設準備を担当され、両館の学芸員・館長等として博物館運営に携わりました。とくに自然の博物館では、秩父地域の地形・地質に関する調査、資料収集、展示、教育普及などの事業に力を注ぎ、ジオパーク秩父の認定にも貢献されました。
美術館勤めだった父親が亡くなったあと、本間さんは、浦和の実家の書庫で『福澤一郎の秩父山塊』(池内 紀 1998)という小さな本を見つけました。本を開いてみると驚いたことに、目次に秩父盆地・両神山・山中地溝帯・秩父鉱山など,地質屋におなじみの秩父の地名が並んでいました。この小冊子には、秩父山地北部の山や谷のスケッチとともに、題材となった地域や露頭の地質学的所見も記されていました。しかも、これらの所見には、地質屋でなければ到底書けないような専門用語や専門的記述がしばしば登場していたのです。どうしてこんなことが? 本間さんは、一気にこの小冊子に引き込まれてしまったそうです。
そして、この小冊子は、画家・福沢一郎の画集 『秩父山塊』(1944)を、池内氏が判型を縮小して出版した復刻本であることもわかりました。なぜ画家が秩父の地質に関する専門的・地質学的な所見を書けたのだろうか?という疑問はますます強くなりました。そこで、この本のもととなった福沢一郎(1944)の画集『秩父山塊』がどうしてもほしくなり、古本屋を探して購入したのです。
日本にはじめてシュルレアリスム(超現実主義)を紹介した画家として知られる福沢一郎は、戦時中、秩父山地北部の山中地溝帯や神流川筋をスケッチしながら踏査し、モティーフとなった山や露頭のスケッチとともに、地質学的所見も記しました。そこには当時の最新の地質学的知見が散見されます。本講座では、画集『秩父山塊』(1944年出版)を通じて、画家でありながら地質学の確かな眼も併せもっていた福沢一郎の人物像に迫りました。
講座への参加者は、会員12名+非会員18名=30名。アンケートからは、地質学に不案内だが画家・画集という切り口だったのでわかりやすく興味がふくらんだ、シュールレアリズムに影響を受けた画家だと思っていたが、何億年にもわたる地質の歴史へと深い想像力と理解力を深めていった人だと改めて感心した、丁寧な説明、自分との関わり、美術と地学、講師ならではの講演、まれな講座だった、などの感想が寄せられました。
❤❤❤令和5年度 野外研講座-2「見沼通船堀」が開かれました!❤❤❤
令和6年2月18日(日)13:30~15:30、さいたま市立岸町公民館で野外研講座-2「見沼通船堀」が行われました。講師の青木義脩さん(本会副会長)は、旧・浦和市教育委員会で文化財保護行政を担当され、初代の文化財保護課長を務められました。「見沼通船堀」は、我が国最古とされる閘門式運河で国の史跡に指定されています。史跡指定の範囲は、通船堀そのものだけでなく、差配をしていた鈴木家住宅、水運の安全を祈願した水神社境内、川口市木曽呂の富士塚が含まれます。
青木さんは、「見沼通船堀」の文化財指定と復原にかかわるなど、長年にわたり、その保存と活用に力を注いでこられました。配布資料には、「こんな仕事に携わったものとして、見沼通船堀が一体どんな価値があり、何を我々に語っているのか、皆に伝えるのが私の役目であり、今日はその一端を語ってみる。」とありました。また、「閘門式運河は、正しくは閘室を持つ運河である。関があって、階段状になるものもよく閘門式運河という人もいるが、それは広義の閘門式運河で、見沼通船堀は狭義の閘門式運河である。閘室はその上下の関、扉で水位が調節される施設であり、上下の関扉と関連して作動しているものである。見沼通船堀はそれのお手本のようなものである。」という言葉も印象に残りました。閘室の存在が閘門式運河の必要条件だということです。
「見沼通船堀」に関する第一人者である青木さんのお話をあらためてじっくり聴くことができたのは、幸運な事でした。講座への参加者は、会員11名+非会員10名=21名。時折ユーモアを交えたわかりやすい講師の話に、参加者一同引き込まれていました。参加者へのアンケートの回答には、見沼通船堀の史跡指定に実際かかわった方のお話で、背景が良くわかり、大変参考になった、いつも深い実見に基づいて話がわかりやすい、見沼通船堀の歴史やパナマ運河との関係がよくわかった、とても楽しくお話に引き込まれてしまった、などの感想が寄せられました。
◆令和5年度 野外研講座-1「剣聖 高野佐三郎」が開かれました!◆
令和6年1月21日(日)13:30~15:30、さいたま市岸町公民館で野外研講座-1「剣聖 高野佐三郎」が行われました。講師の大滝孝久会員は栃木県那須町にお住まいで、栃木県那須町文化財保護審議会会長を務めておられます。当日雨降の足元の悪いなか新幹線で、ご夫妻で来場されました。奥様の早苗さんは高野佐三郎の曽孫です。
高野佐三郎は埼玉県秩父生まれの剣道家で、明治・大正・昭和を通じて後進を指導されました。日本の剣道の発展に力をそそぎ、「剣聖」と称されるようになりました。大滝さんが「近代の剣聖 高野佐三郎」と題して野外研の機関誌『野外調査研究』(その1:第6号、および、その2:第7号)に連載されていますので、講座参加者には、講演とあわせてご覧いただければ、より理解が深まることと思います。ご夫妻は、那須町に「剣聖高野佐三郎研究所」を設立し、佐三郎の遺品など関係資料の収集・保存に力を注いでおられます。
講座への参加者は、会員10名+非会員11名=21名で、剣道関係者の姿もみえました。埼玉新聞の記者も講座に参加され、講座終了後に参加者に取材をしていただきました。参加者のアンケートには、剣道の発展に尽力された高野佐三郎の生涯がよくわかり素晴らしい内容の講座だった、話がわかりやすく資料も多くとても良かった、講師の調査にかける情熱に感銘を受けた、ネットには出ない情報や知識を聞けて来て良かった、大変印象に残るお話でした、まとめがよくわかりやすかったなど、講座に参加して良かったなどのコメントが多数寄せられ、みな満足して帰られたようです。講師による機関誌への連載はまだ続きますので(その3を第8号に掲載予定:令和6年6月30日発行予定)、興味のある方はぜひご一読ください。
◆◆◆◆◆◆令和5年度野外研定期総会・記念講演会「希少な水生
食虫植物ムジナモの生き方を探る」が開かれました!◆◆◆◆◆◆
令和5年7月16日(日)13:30~14:30、令和5年度野外研定期総会がクイーンズ伊勢丹北浦和3階カルタスホール(第3・第4会議室)で開かれ、令和4年度事業報告・同決算報告・同会計監査報告、令和5年度事業計画・同予算が、それぞれ議案書どおり承認されました。令和5年度事業は、講座として「『近代の剣聖』高野佐三郎」、「見沼通船堀」、「画家・福沢一郎と『秩父山塊』」、見学会として、「武蔵二宮(金鑽神社と御嶽の鏡岩)」、「小石川植物園」、「長瀞岩畳と自然の博物館」を実施することとなりました。
定期総会後の15:00~16:30には、埼玉大学の金子康子先生による記念講演「希少な水生食虫植物ムジナモの生き方を探る」が行われました。ムジナモが植物界最速の0.02秒で捕虫葉を閉じて虫をとらえる動画を楽しそうに紹介する講師の笑顔が印象的でした。微細な感覚毛・消化腺毛などを電子顕微鏡で拡大して見る世界も驚きです。35℃以上にならないと咲かない小さな花、カルシウムやマンガンの量がムジナモの生育の良し悪しに関係すること、牧野富太郎によるムジナモの解剖図、2022年には自生地で100万株を超えたことなど、大変興味深いお話で、参加者の多くが満足して帰られたようです。
羽生の「宝蔵寺沼ムジナモ自生地」については、地元保存会の人々と金子先生をはじめとする研究者などとのコラボによる保護増殖活動と自生地の復活について詳しい報告があり、活発な質疑応答も行われました。
定期総会参加者は19名、記念講演会参加者は会員19名+非会員5名+講師=25名でした。また、機関誌『野外調査研究』第7号が刊行され、定期総会出席者には会場で配布されました。
◆令和3年度総会 記念講演会「山の自然学への招待」が開かれました!
日時:令和3年10月3日(日)15:00~16:30
会場:カルタスホール第3・第4会議室(北浦和ターミナルビル3階)
演題:「山の自然学への招待」
講師:小泉武栄氏(東京学芸大学名誉教授・自然地理学)
小泉先生は長野県飯山市で幼少期を過ごされ、東京学芸大・東京教育大・東大へ進まれました。そして日本アルプスを皮切りに日本各地の山々を踏査するなかで、山の自然の美しさや多様性、地形・地質と植生とのみごとな相関関係に気づかれました。山に登ってあたりを見回した時、“原始人的な勘”で「ここは何か変だぞ」「あ、自然がここで変化した」ということに気づき、そこから新たな研究テーマが生まれてきたのだといいます。そこには、自然の多様性(植生・地形・地質・雪・気候など)を総合的に調べるという研究姿勢が必要でした。しかし専門分化が進んでいる大学や学会ではなかなかわかってもらえず、外様(とざま)状態だったそうです。しかし逆境にもめげずに “なぜ、そこに?” という疑問をなげかけ仮説を立て工夫を積み重ねながら、ジオエコロジー(地生態学)の研究を続けてこられました。
海外の高く巨大な山脈にくらべて日本の山は低いが、自然景観の多彩さや山の美しさという点では、はるかに優れているし、一つひとつの山に著しい個性があるといいます。その理由として、強風・雪・地質の複雑さなどがあげられます。現在、私たちが見る山の景色は、これらの要素がからみ合ってできあがっています。この自然を分けずに「つながり」で把握しようという考えを、先生は「山の自然学」と命名されました。この講演では、自身が歩んでこられたジオエコロジカルな研究体験やエピソードをまじえながら、山(自然)を総合的にとらえる視点が大切だということを訴えておられました。この視点(姿勢)は、自然と人文を総合的にとらえて実施している野外調査研究会の活動(野外見学会・講座・講演会・機関誌など)にも通じるところがありそうです。
参加者からの質問:①ウスユキソウは蛇紋岩地帯に生えるが、蛇紋岩からなる早池峰山にいろいろなウスユキソウがあるのはなぜか?⇒ 早池峰山は下部の石灰岩・砂岩・泥岩、上部のかんらん岩からなり、本当のウスユキソウは上部、違うウスユキソウは下部に生育。②「岳」と「山」の違いは?⇒ 火山で高い山を「岳」という。
講演後は、同じフロアの休憩スペースで講師を囲み1時間ほど楽しく懇談しました。
◆見沼部会および荒川・利根川部会の合同講座「見沼新田と野田のサギ
山」および「荒川下流域の地形と洪水」が開かれました!
令和2年2月16日(日) 14:00~16:00
会場:さいたま市立岸町公民館
講師:青木義脩氏(野外研会員)、高原勇夫氏(野外研会長)
見沼部会からは、青木氏が「見沼新田と野田のサギ山」、荒川・利根川部会からは、高原氏が「荒川下流域の地形と洪水」について、それぞれ講義を行いました。両部会は対象とするエリアの一部がオーバーラップしていますので、このような合同講座は情報の共有化に役立ちます。
青木氏は、かつての特別天然記念物「野田のサギ及びその繁殖地」がどういう環境状況・条件で発足したか、そしてどういう状況下で終焉を迎えたかについて語りました。享保年間開始前にあった見沼の入江新田の存在が見逃せないこと、始まりが新染谷村であるのもそれを示唆しているとの考えも示しました。サギの採餌場は、サギの体躯から底の浅い水田が優れており、水田化がきっかけで、水田が畑作になったのが終焉の大きな原因であること、そこに農薬や有害化学物質の使用による餌の減少と汚染や騒音、夜間照明、宅地化などいわゆる都市化などが重なって、集団営巣地の維持ができなくなったことを語りました。
高原氏は、まず寄居~熊谷~吉見、川島~富士見にかけての荒川流域の沖積低地と堤外地の微地形について、豊富な現地見学の写真および空中写真、地形区分図、土地の海抜高度(標高)を2m間隔で着色し立体的に表現した大宮台地南部の「色別標高図」などを示して紹介しました。後半の荒川流域の洪水では、2019年台風19号による荒川氾濫の様子をリアルタイムで伝える荒川上流河川事務所の映像を紹介し、また明治以降の荒川流域の大洪水について、明治43年、昭和22年(カスリーン台風)、昭和57年の各洪水について、記録写真や氾濫区域図などを用いて説明しました。
◆見沼部会講座「見沼の民話と伝説」が開かれました!
令和元年11月21日(木) 13:30~15:00
会場:さいたま市立岸町公民館
講師:斉藤久子氏(野外研会員・民話語り わらしべ代表)、篠原由紀子氏(わらしべ会員)、
首藤文江氏、(同前)、新井經雄氏(同前)、岡 三郎氏(同前)、青木義脩氏(野外研会員)
最初に、斉藤久子氏から「見沼の伝説を語るにあたって」と題して、同会は平成20年・21年に企画された「民話の語り手になろう」講座で民話語りの学習を始め、講座終了後、継続して語りの学習をしようと誕生したグループであることが紹介されました。
その後の会員による語りでは、①見沼の花物語として、「雨降り朝顔」(篠原由紀子氏)と「女郎花」(首藤文江氏)、②「見沼の弁天様」(新井經雄氏)、③見沼のホタル(ホタル御殿:篠原由紀子氏)、④見沼の竜(岡 三郎氏)、⑤左甚五郎の竜(斉藤久子氏)の6話が上演されました。1人ずつ前に出て独特の語り口調で披露された語りは、野外研の他の講座では恒例の専門用語が飛び出すこともなく、思わず話に引き込まれ、新鮮な感動を味わうことができました。
最後に、青木義脩氏から、竜を中心とした見沼を巡る民話と伝説について、見沼干拓時・干拓後、異変、荒らし、禁忌作物など、興味深い話でまとめていただきました。
◆令和元年度総会講演(公開講演会)「さいたま市の地形・地質(地盤)と地震災害のリスク」が開かれました!
令和元年7月13日(土) 13:30~15:00
会場:さいたま市青少年宇宙j科学館 視聴覚ホール
講師:中澤 努氏(産業技術総合研究所 地質情報研究部
門地質研究グループ長)
講師は北本市出身、5万分の1地質図福「大宮」(2002年発行)や「野田」(2011年発行)の著者の一人です。
現在の産総研の地質調査総合センターの前身である地質調査所は、E.ナウマンの働きで明治15(1882)年に農商務省地質調査所として設立されたこと、国土交通省国土地理院の前身は参謀本部陸地測量部(明治2年設置)、海上保安庁海洋情報部の前身は海軍省水路部(明治4年設置)であることなど、地学関係の公的機関が、いずれも経済や軍事などの必要性から生まれた機関であることを紹介。
講演で示された人工改変される前の自然地形がわかる浦和駅西口周辺の地図(昭和元年大日本帝国陸軍測量部発行)、第2次大戦中から戦後にかけて米軍が撮影した浦和駅~青少年宇宙科学館付近、大宮駅~大栄橋~国鉄大宮工場付近の空中写真などは、興味深いものでした。
地震災害については、台地と低地で地震振動特性が異なることや、どの周期の揺れが増幅されやすいかなどについて解説。とくに、荒川低地や芝川低地では、地震振動特性(H/Vスペクトル)にいずれも1Hzにピークがある(地震時に1Hzの揺れが大きく増幅されるリスクがある)ことなどが紹介されました。
中澤氏の講演内容は、当会の見沼部会や荒川・利根川部会のテーマとも関連する部分が多く、大変参考となるものでした。
◆野外研講座「寒天の歴史と魅力」が開かれました!
平成31年3月16日(土) 13:30~15:00
会場:浦和パルコ10階 第13集会室
講師:五味 康氏(野外研会員)、野島玲子氏(野外研会員)
野外研では、会員の興味・関心を掘り起こして活動を活発にしていくために、テーマ別部会を発足させるこ
とになり、現在、「寒天」と「見沼の自然と歴史・文化」の2つの部会が発足して活動を始めました。今回は
野外研の会員を対象に、これまでの「寒天」部会の調査の成果を、2人の部会員が報告しました。
♠五味会員は、「天然寒天のできるまで」と「寒天産業の歴史」について、茅野市の現地調査の結果を中心に
詳しく紹介されました。とくに「天然寒天のできるまで」では、天然寒天の作業工程を示す豊富な写真を用い
て、寒天製造に適した茅野市の地形・気候特性や、工業寒天にない天然寒天のすぐれた点を強調されました。
♥野島会員は、「寒天による世界一を目指す地域づくり」と題して、自身の農事組合での経験も交えながら、
寒天がもつ健康や病気予防面でのすぐれた効用などについて紹介され、マスコミなどもうまく活用して健康増
進に敏感な現代人への寒天の普及・啓発を世界へ向けて発信していきたいと強調されました。
◆平成30年度 第2回野外研講座が開かれました!
見沼講座「見沼の自然と歴史・文化 1 見沼の成り立ちと歴史」
平成31年1月12日(土) 13:30~15:00
会場:さいたま市民会館うらわ(505集会室)
講師:青木義脩氏(元さいたま市文化財保護課長) ※レジュメは下記をダウンロード
見沼は水と魚・鳥・動物・植物が人々の生活を支えた一昔前の里山だった。 見沼の水を使っている人々を水
下(すいか)と呼んだ。汽水は農作業には使えないので、現在の足立区にあたる地域の人々(水下)は見沼の
水の恩恵を受けていた。氷川神社の故郷は見沼である。武蔵国に250社もある氷川神社は足立区に多く、綾瀬
川以東にはない。話は見沼溜井・八丁堀・見沼新田開発・見沼代用水開削・見沼通船などに及び、25名あまり
の参加者は、講師の長年の調査と経験に裏打ちされたよどみない講演に熱心に聴き入っていました。
◆平成30年度 第1回野外研講座が開かれました!
「南鴻沼遺跡から見た縄文人の暮らし」
平成30年11月24日(土) 13:30~15:00
会場:浦和コニュニティーセンター研修室(浦和パルコ10階)
講師:小倉 均氏(元さいたま市立博物館長) ※レジュメは下記をダウンロード
さいたま市中央区大戸の低湿地にある南鴻沼遺跡からは、漆の樹液を採取した跡が残る木が出土していま
す。長さ113㎝、太さ2.5~3.5㎝で、表面に10~15cm間隔で1周するように計9本の筋状の掻き傷があり
ます。4903~4707年前という年代測定値が得られ、国内最古(縄文時代中期後半)の漆の木であることが
わかりました。参加者はやや少なかったですが、多くの質問が出て充実した講座でした。とくに出土した丸木
舟や漆食器の話は大変興味を持てました。
◆平成30年度野外研総会と公開講演会が開かれました!
平成30(2018)年7月14日(土)、浦和パルコのコムナーレ10階(第13集会室)で
平成30年度野外研総会が開かれ、平成29年度の活動報告・決算、平成30年度の活動計画・
予算が審議・承認されました。松浦茂樹会長に代わって高原勇夫さんが新会長に選任され、副
会長や運営委員も拡充・強化されました。
総会後、松浦前会長による公開講演会「川の見方:荒川を例に」が開かれ、荒川を例に川
や堤防の知識・見かたや河川改修などについて基礎的なお話があり、参加者からはとてもわか
りやすく大変良い講演だったとの声が聞かれました。
1・野外研特別講演会2017
◆「ニホンオオカミ生存の可能性について」
2017年7月15日(土)
会場:さいたま市民会館うらわ
講師:𠮷川國男(レジュメは下記をダウンロード )
2・野外研講座2017『荒川流域の自然と人との関わり』
①「奥秩父の山々の成り立ちと生い立ち」
2017年6月19日(月) 会場:さいたま市立岸町公民館
講師:本間岳史(レジュメは下記をダウンロード )
②「写真と地図から見た荒川流域の地形・地質と流路変遷
~荒川源流域から彩湖まで~」
2017年8月30日(水) 会場:浦和コミュニティーセンター
講師:高原勇夫(レジュメは下記をダウンロード)
③「荒川の成り立ちと治水事業の歴史」
2017年8月30日(水) 会場:浦和コミュニティーセンター
講師:塚本一三(荒川上流河川事務所副所長)(レジュメは下記をダウンロード)
④「文化財に見る 秩父の祭 ~「川瀬祭」と「秩父夜祭」~」
2017年10月31日(火) 13:30~ 会場:さいたま市立桜木公民館
講師:柳 正博(埼玉県文化財保護審議会委員)(レジュメは下記をダウンロード)
⑤ 「荒川流域の地質と発見された化石から埼玉3億年の歴史を探る
~パレオパラドキシアや巨大ザメの化石から~」
「今話題の『チバニアン』について」
2018年1月20日(土)13:30~会場:さいたま市立岸町公民館
講師:中島 礼(独立行政法人 産業技術総合研究所)
⑥-1「日高の歴史遺産 高麗神社と聖天院」─高麗郷とは何か、その特徴─
2018年3月10日(土) 13:00~14:15 会場:さいたま市立岸町公民館
講師:青柳茂樹(レジュメは下記をダウンロード)
⑥-2「高麗川流域の地形と地質」
2018年3月10日(土) 14:30~16:00 会場:さいたま市立岸町公民館
講師:本間岳史(レジュメは下記をダウンロード)
〇講 座 <講座1> 10:15~11:00 「荒川の洪水とサクラソウ」講師:細野 衛
<講座2> 11:00~12:00 「田島ケ原のサクラソウの歴史と現況」
講師:桑野 昌
〇野外見学会
<集 合> 13:00 桜環境センター玄関(JR西浦和駅徒歩15分、
または浦和駅から志木駅行バスで秋ヶ瀬公園下車徒歩10分)
<コース> 田島ケ原(サクラソウと春の野草)~彩湖遊歩道(荒川下流域の景観、
彩湖周辺の微地形と野鳥) 徒歩約2時間
<案 内> 桑野 昌
<持ち物> 雨具
<参加費> 無料
<申 込> 3月10日(土)~
電話:野外研事務局 090-2933-2779
━今後実施予定のイベント━